73式

妙齢専業主婦の雑記帳である。文章を書く練習のため、ほぼ毎日更新の予定。

セーラー服とレミントン

 田舎の女子中学生ほど恐ろしい存在はいないと思う。彼女たち*1は他人の粗探しが大得意である。チンピラ並に因縁をつけるのが上手い。小金をせしめようという目的がある分チンピラの方がまだマシとさえ感じる。彼女たちには目的がない。あるとすれば、自分たちのグループ外の他人をバカにして笑うことだ。

「Cに「可愛いね」って言ったら「ありがとう」って返ってきたの。普通そこは「そんなことないよ」って返すよね。あの子、絶対自分が可愛いと思ってる」

 小中高とずっと一緒だったNの女子中学生時代の発言である。自分で「可愛いね」と振っておいてこれはひどい(笑)。たぶんCが「そんなことないよ」と返したとしてもNは同じ言葉でCの文句を言うだろう。とにかくCを貶めたいのである。このイベントで、私は「世の中では善悪や正邪よりももっと最初に「好悪」があるのだなぁ」と知った。Cは至って普通の顔立ちだが、頭が良くて誰にでも優しく、いつも笑顔なので男子に人気があった。普通の顔立ちの人間がモテるのは、女子中学生の中ではご法度なのである。Nはとても美人だったし、今でもそうだ。

 その後Nとは色々あって、一旦絶縁状態のようになってしまった。高校で同じクラスになったときはガクブルしていたが、Nはすっかり毒が違う方向に回っていて*2、仲良く過ごすことが出来た。それどころか、謎の衝動に駆られわけの分からない行動を取っていた私のことを最後まで見捨てずに相手をしてくれた。大学は違ったが、未だに連絡を取り合う仲である。

 Nは本質としては心優しい人間だ。真面目で一生懸命で見た目も麗しく、仕事に熱心に取り組む尊敬すべき人間だ。中学時代に彼女を修羅と変えていたのは、やっぱり「女子中学生」という団体だと思う。彼女が中学生当時所属していたバレー部では、頻繁に先輩から後輩への「呼び出し」があった。やれスカートが短いやれスカーフの巻き方が生意気やれあいさつを無視した……。ちょっとでも気に食わないことがあるとすーぐ呼び出し。「最近調子に乗ってるよね?」と凄むのであるが、調子に乗っているのは明らかに先輩の方である。後輩は後に先輩になり、新しい後輩に同じ行為を繰り返す。恐ろしい負の連鎖である。

 私はそんな彼女たちを「バカバカしい」と思って見ていた。多分態度にも出ていた。だから中学時代はあまりいい思い出がない。

「おまえの言ってることも思ってることも正しいよ。でももうちょっと、上手く動けよ」

 これは当時のクラスメイトの男子に言われた言葉である。彼は生徒会長で成績は学年トップ、バスケ部のキャプテンで市のMVP。背が高くイケメン。後に市内トップの高校に入り、旧帝大に進学した。

*1:もちろん全員ではない。

*2:決して毒が抜けたわけではない、というのがポイント(笑)。