73式

妙齢専業主婦の雑記帳である。文章を書く練習のため、ほぼ毎日更新の予定。

宗教観

 日本人にありがちな無宗教派である。論者とも呼べない。語るには無知過ぎるのだ。

 中学生の頃、校門の前で聖書を無料配布している人がいた。新しい本が欲しかった私はそれを受け取り、毎日眠る前にちょっとずつ読み進めたのだが、特に何の感慨も抱かなかった。今でも無料配布してるのかな? 昔のホテルの引き出しには聖書が一冊入っていたが、今でもそうなのかな? 引きこもりなので分からないが、確認する気もない。面倒臭い。

 たまに明らかに「宗教の勧誘に来ました」感バリバリのおばちゃんが現れる。我が家のインターフォンはカメラがついているので、チャイムが鳴っても居留守を使っても良さそうな相手は基本放置してしまう。おばちゃんは大概二人一組で現れ、全く同一の類の笑顔を貼り付けている。こちらは居留守を決め込んでいるので無反応なのだが、おばちゃん達は微笑み続ける。この笑顔が本当の良心と信仰心から来ているのか、獲物を見つけた喜びで逆毛の立つ猫のものなのかは私には判断がつかない。笑顔のおばちゃんたちは笑顔のまま去っていく。その背中に羽根が生えて飛んで行ったら面白いのになぁと思うが、奇跡は簡単に起きない。

 人間の価値観や思考は流動する。不変のものなど気味が悪い。二千八年に、ローマ法王庁は新たな七つの大罪を発表したそうだ。「遺伝子改造、人体実験、環境汚染、社会的不公正、貧困、過度な裕福さ、麻薬中毒」であるらしい。「傲慢、嫉妬、憤怒、怠惰、強欲、暴食、色欲」から比べて随分具体的だ。信者に対する牽制か? と穿った見方をしてしまう。宗教も当然のように進化するのだなぁ。凝り固まっているのは型の方ではなく、私の頭蓋骨のようだ。