73式

妙齢専業主婦の雑記帳である。文章を書く練習のため、ほぼ毎日更新の予定。

思い出し愚痴愚痴(一)

 ずっと父親を反面教師として見て育ってきた。

 父はすぐに大声を出す。くしゃみもでかい。足をつったときも「いってえええええええ!!」と大絶叫だ。気に食わないことがあると怒鳴る。私は歌を歌うとき以外に大声を出すことをやめた。

 父はものすごく早口だ。北関東訛りの荒い言葉を矢継ぎ早にぶつけられると、内容に関係なく「責められている」という印象ばかりが残る。私は決して早口にならないように、ゆっくり喋るように努めた。

 おかげで初対面では多くの人に「おっとりした優しそうな人」という印象を持たれるようになった。しかし悲しいことに、私の性格は兄妹の中で最も父のそれを受け継いでいた。

 父は所謂「正論厨」というやつである。スジが通らないと思ったことは、相手が誰であろうが徹底的に立ち向かっていく。物言いが攻撃的なので正しいことを言っていても敵を多く作ってしまう悲しい人である。そして私にもそのきらいが少しだけ、というか、結構、ある……。

 大学時代、私はかなり真面目にサークル活動に勤しんでいた。何故かサークルの女性メンバーたちはモチベーションが低く、「楽しくできりゃそれでいいじゃん」という感じの人たちが多かった。それはある一定のレベルに至ってから言うことの出来る言葉だと私は思っていた。

 イベントごとに様々なコピーバンドを組む→自主練をしてくる→全員で合わせる→ライブ、これを延々と繰り返すのが軽音楽部だ。女性陣*1は何故か自主練をしてこない。全員で合わせる日に、全員で集まっておいて個人練習をする。形にならないまま本番。ぐだぐだな結果に。「まぁ、楽しかったからいいよね」という感じだった。私は「本番ぐだぐだだったら全然楽しくない」派だった。この曲やりたいからお願いね、と頼まれて家で練習をしてきて、合わせの日に自分以外の殆どが出来ていなくて、本番は消化不良。楽しくねぇ。全っ然。

 そのうち女性陣とは絶対に練習をしてくる人としか組まなくなった。男性陣は経験者が多いので、そちらと組むことも多くなった。これが一部の女性陣の反感を買った。「自分が楽器上手いからって私たちを見下している」「そんなに完璧さを求めるならカラオケでいいじゃん」と陰口を叩かれていたようだ。

 初めにその噂を耳にしたとき、本当に「ぽかーん」としてしまった。私は単に自分の楽しい方向へ流れていっただけだ。私は楽器が弾きたかった。コピーバンドを組みたかった。求めていたのは完璧さではない、「これやりたいからお願いね」と頼んできた人の誠意だった。頼まれたからにはしっかりやると、全然知らない曲でも頑張った。お金を払ってスタジオに入っても演奏がちゃんと出来るのは自分だけ。結局形にすらならず、これ本番でやるのやめよう! 出来ないわ! と、気軽に解散。オイ、これあんたがやりたいっつったんだろ。その繰り返しだった。内心イライラしながらも、私は何も言わなかった。いや、むしろ「本番がなくなっちゃってもいい練習になったから構わないよ」と気を遣って無理やり言っていた。それが「逆に怖い」。正直その噂を聞いて本当にサークルを辞めようかと思った。

 つらつら書いていたら朝の四時になってしまったのでここで終了。続きはまた。

*1:もちろん全員ではないのだが、便宜上ここでは「女性陣」で統一する。