73式

妙齢専業主婦の雑記帳である。文章を書く練習のため、ほぼ毎日更新の予定。

第1話 二千年後の君へ

 この記事は進撃の巨人のコミックスを十一巻まで一読したのみの読者が、二回目に読み直した際に気になった点を書き残したものである。矛盾、知識の前後、既に明らかになっている真相を無視している可能性と、ネタバレが多大にあるので注意。

▼大体の内容

 845年、エレン達の住むシガンシナ地区を超大型巨人が襲った日の話。まだ調査兵団団長の座についていないエルヴィン、幼いエレン・ミカサ・アルミン、酔っ払いハンネス、健在のエレンの母カルラ、内地へ往診へ行くというグリシャが出て来る。「100年間壊されなかった壁」がついに壊される。

▼ループ説

 はじめに、私は「ループ説否定派」である。根拠はあるといえばあるが、ぶっちゃけ「ループ説はやめてくれよ」という願望の方が強い。

 ループ説を匂わせるのは、第1話のタイトル「二千年後の君へ」と、序盤のエレンが見た「長い夢」に登場するミカサの「いってらっしゃい エレン」という台詞、その夢からエレンを起こしたミカサの髪の長さ、服装に違いが見られること、頭痛を訴えるミカサの「またこれか」という台詞、作者が「影響を受けました」と公言している「マブラブオルタネイティブ」という作品世界がループ構造だということ。他にあるかな? まだ一巻を読み直した程度なのでまだまだ出てくるかも。

▼「二千年後の君へ」の意味

 第1話の中で、グリシャがエレンに「何故外に出たいのか」と問うシーンがある。エレンはこれに、「外の世界がどうなっているのか何も知らずに一生 壁の中で過ごすなんて嫌だ!!」、更に「ここで誰も続く人がいなかったら今までに死んだ人達の命が無駄になる!」と答えている。確かこの言葉、訓練兵時代にも出てきたような気がする(順番に読み直して気になった点を書いていくだけなのでこの時点では確認しない)。エレンの中には「この残酷な世界を生き抜いていくには先人たちの知識や技術を繋げていく必要がある」との主張があると思われる。

 以上から、「二千年後の君へ」は「未来に生きる人々へ」というエレンからのメッセージと捉えたい。

エレンの夢の中のミカサ

「いってらっしゃい エレン」と告げるミカサは何歳くらいなのだろう。私には、現実のミカサ(845年時点)と同じくらい幼く見える。マフラーを巻いているのでエレンと出会った後。「長い夢」と「二千年後」と「ミカサの状態変化(言い方が何か微生物っぽいが……)」が揃うとループ説を思い浮かべてしまう。私はこれらを全て分断し、関連がないものとして考えたい。

 ミカサはエレンを「自分の帰る場所」としている。本来ならば「ただいま エレン」と言う方が設定的にはしっくり来るのだが、これは今後のエレンとミカサの立場の逆転、つまりはエレンがミカサを「自分の帰る場所」と認識するという示唆ではないだろうか。エレンは恐らく物語の終盤以降、外の世界へと旅に出るだろう。ミカサを伴っていくとは思えない……。夢は単なる夢であり、ループ説とは関係ないと考える。しかしこれだと何となく後々のエレンとミカサの別離に繋がりそうなのが辛い。

▼ミカサの頭痛

 正直分からん。人々が蹂躙されていく様を「またこれか」と言っているのかも、頭痛そのものをそう言っているのかも判断がつかない。ミカサは人間として驚異的な力を持っているが、それは二巻で語られるミカサの「世界への理解」に通じる。脳が認識出来る能力を全開放して動くのだから、慢性的頭痛に悩まされているのかもしれない。

▼影響を受けた作品

 マブラブをやったことがないので分からん。他にもいろいろ影響を受けた作品が挙げられているようだが、それらに共通するのは「絶望」だと思う。諫山氏は読者を引き込むのが本当に上手い作家だと思うので、影響を受けた箇所がループだったら物語の根幹のネタバレに通じるのでそりゃ勘弁してくれよっていう、まぁ、この辺は願望。

▼ものすごくどうでもいいこと

 「長い夢」という言葉を聞いてふと「FINAL FANTASY X」を思い出した。FF10では千年前に滅びたザナルカンドという国の人々が見た夢が、現代に具現化している。主人公のティーダはザナルカンドの住人であるため、物語の最後に姿を消してしまう。

 興味深いのは、同シリーズの「FINAL FANTASY VII」の二千年後の未来がFF10の世界だという話があることだ。FF7は北欧神話をモチーフにしているが、それは進撃の巨人も同じ。FF7の大都市ミッドガルドは巨人の壁に共通する閉じられた世界であり、主人公クラウドの故郷ニブルヘイムでは、死んだはずの街に新しい住人がさも昔から住んでいたかのように暮らし続けている。北欧神話でニブルヘイムは「地下」にある。グリシャが出がけにエレンに告げた「地下を見せてやろう」に通じるものがあるような気がしなくもなくはないか? まぁ、妄想です。